前日夕方から降り出した雨は、夜に本降りとなっていました。
朝起きてすぐに外を見たら、まだ降っています。
登拝できるかどうかわからないけれど、どちらにしても大神(おおみわ)神社にはお参りするので、出発しました。

小雨の中、JR奈良駅に向かいました。
右側の建物は観光案内所です。旧駅舎だそうです。
レトロかつ寺社っぽい雰囲気です。
JR桜井線(万葉まほろば線)に乗りました。
『京終(きょうばて)』、『帯解(おびとけ)』など初めて聞く駅名の由来を、降りて確かめたい気持ちになりました。
いやいや、目的は三輪山です。

『三輪駅』で降りました。
『大神神社』と書かれた大きな看板がありました。
平日だから、降りる人が少ないのでは?と思いましたが、ビジネスマン風の男性が15人くらい一団で降りました。
その方たちも行く先は大神神社のようです。
後方をついていったら、大神神社に着きました。ありがたい。

こちらは二の鳥居です。
ここまで来るうちに雨は上がっていました。

参道は少し靄がかかっていましたが、とても澄んだ空気でした。
この感覚、以前中尊寺に行った時の参道とよく似ています。
あの時は夏だったな、同じように雨上がりだったけど。

手水舎です。蛇の口から水が出ています。
祓戸社にお参りしてお祓いしてから、拝殿に向かいます。

大神神社に本殿はなく、拝殿奥の三つ鳥居を通して三輪山を拝します(詳しくは大神神社公式HPをご覧ください→http://oomiwa.or.jp/jinja/)。
お祓いのための御幣が置いてあり、お祓いの方法について説明もあります。
それらしく左、右、左と御幣を振ってお祓いし、『三輪山に登拝したいのでよろしくお願いします』とお参りしました。

三輪山に早く向かいたいけれど、他にもお参りしたいところが…。

それが、こちら、巳の神杉です。
卵やお神酒がお供えしてありました。
白蛇さんいないかな~と、木の洞を覗いてみましたがいらっしゃらないです。

私の父は蛇が大嫌いで、嫌いゆえに誰よりも先に蛇に気づくのでした(実家の古い松の木の根元に蛇が住んでいたようです)。
私はというと、触るのは無理ですが、そこまで嫌いではありません。
距離さえとれれば、むしろ観察したくなります。
今住んでいる場所でも蛇を見かけるのですが、お互いのエリアを侵さず共存できればいいなぁと思い、蛇の無事をお願いしました。

祈祷殿の前を通って狭井神社につながる、くすり道に向かいました。
祈祷殿では巫女さんが神楽を舞っていました。美しい。

くすり道には、薬草や薬木が植えられているそうですが、早く登拝したい私の目には全く入ってきませんでした。

狭井神社の鳥居です。
左側に池があり、朱塗りの小さいけれどきれいなお社がありました。

社務所で登拝申し込みをします。
入山心得や案内図が書かれた紙をいただきます。
参拝証となる白い襷(鈴がついています)をかけること、水分補給以外の飲食は禁止であること、山中では撮影禁止であること、携帯電話は緊急時以外電源を切ること、などを口頭でも伝えられました。
こちらの神社にも御幣があり、登拝前にお祓いします。

拝殿脇にある薬井戸です。
万病に効く御神水だそうです。
備え付けのコップもありましたが、持参の水筒でまず一口いただきました。
美味しい!
実は、電車の暖房がよく効いていて、あまり汗かきではない私が汗をかいたものの手持ちの飲み物がなく、登拝前に脱水を起こすかも?と思っていたのです。
再び水筒に水を満たし、いざ登拝です。

こちらの登拝口から山に入ります。
竹の杖もお借りしました。
初めての山、雨上がり、単独行…。
とにかく無理しないことを心に決め登り始めました。

整備されている道なので、山初級者の私でも行けそうです。
平日の雨上がりだからでしょうか、人が少なかったです。
それでも何人かとすれ違いました。
中には修行用の白装束に裸足の方もいらっしゃいました。

山の中の気はまた格別に澄んでいました。
山水画の中にいるような、静謐な空間でした。
鳥の声が聞こえ、木々の葉から雫が落ちます。
登りながら、三輪山の神さまに話をしました。
私は不思議世界が視える・聞こえる能力は持っていないので、一方的に自分について話しました。
生まれてからの人生への感謝とこれからの人生の夢や希望を、話が逸れながらもたくさん伝えました。
話しながら一足一足進んでいたら、奥津いわくらまでたどり着くことができました。
神さまに改めて感謝とお願いを伝えると、厚い雲の隙間から薄日が差しました。
とてもありがたくて嬉しくて立ち去りがたい気持ちでいっぱいになりました。

しかし、ずっと山の中というわけにもいきません。
午後四時までに下山することという決まりもあるし、次に行きたい場所もあります。三輪そうめんも食べたいし…。
無理な時は途中で引き返す覚悟もしていたので、ここまで来られた感謝と満足感を抱えて下り始めました。
下り道では、滑らないよう一層の注意を払いました。
大人が転んだらダメージは特大ですから。

私の足で登りに一時間、下りに四十五分かかりました。
冬だから水はいらないかな、と思ったけれど薬井戸の水がとても役に立ちました。

下りてすぐに狭井神社の神さまに登拝のお礼をしました。
そして、『神さまの声を聴くことができないからおみくじでお言葉をください』と三輪山の神さまにお願いしてきたので、おみくじを引きました。
棒を振り出すタイプです。出てきた棒には『二十七』。
この数は私と家族にとってとても意味のある数字なので、これだけでも気持ちが上向きになりました。

こちらがそのおみくじです。
三輪の神さまからの温かいお言葉に涙ぐんでしまいました。
確かに自分の中にチャンスをものにした人をうらやましく思う気持ちがあって、でも外に出さないよう蓋をしていた感情だから、それは登拝の時に伝えてはいないのだけれど神さまにはお見通しでした。
神さま、すごいな。そしてお言葉が優しくてありがたい。

こちらは大美和の杜展望台からの眺望です。
あれは!一の鳥居!
うーん、歩いていくにはちょっと遠い…。
案内図を見てみると、畝傍山、香具山、耳成山。
万葉集に出てくる山がそこに!
そして、後ろを振り返ってみると下りてきたばかりの三輪山がきれいに見えていました。

知恵の神様という文言に惹かれ、久延彦(くえひこ)神社にも行ってみました。
ブログが充実する知恵の力がいただけるでしょうか。
こちらの知恵ふくろうが、とても可愛らしいです。

大神神社に戻って登拝のお礼をし、また、巳の神杉の周りをうろうろしました。
やっぱり白蛇さんには会えませんでした。

山に登って下りたのに、不思議と疲れた感じはありません。
心もすっきりクリアになった気がします。

次の目的地に向かうため、三輪駅へ向かいました。
電車は三十分に一本くらいの間隔です。
時間があったので、駅前のカフェ風のお店でにゅうめんをいただきました。

じゅわっと甘辛いおあげと、きざみ油揚げが入っています。
美味しい!
うどんやにゅうめんのような小麦の麺は西日本の出汁が好きです。
お腹が満たされ温まりました(また電車は暑いだろうけど…)。

次なる目的地は、一駅先の桜井市にある安倍文珠院です。
(二日目奈良②・安倍文珠院に続きます。)

最後までお読みいただきありがとうございました。