パッチワークにハマっていた時期がありました。
図書館で借りた本をうっとりと眺め、好きな作家さんの書籍を買い求め、見よう見まねで作ったりもしました。
私の好きな作家さんは、鷲沢玲子さん(三浦百惠さんのお師匠さん)とキャシー中島さん。
前に東京に住んでいた頃、ワクワクしながら展示会や教室兼店舗(ご自宅)まで出かけたものでした。
少しずつ布を縫い合わせていくので、完成までに時間がかかります。
完成したものもありますが、作りかけのままの作品も😅
むしろ完成してないもの方が多いかも……。

この六角つなぎは最終的な目的があるわけではなく、六角形の布をペーパーライナー方式でひたすら縫い合わせている途中のものです。
老眼が進み、細かい手作業がおっくうになってしまいました⤵
完成は、遠い…。

そんなある日、たまたま図書館で見かけた本に手が伸びました。
それが、こちら

「神さまのパッチワーク」児童書です(書影は版元ドットコムさんのものです)。

主人公は小学四年生の男の子、結(むすぶ)くん。
おうちはみかん農家をしています。
両親と姉の香(かおり)ちゃんの四人で毎日楽しく暮らしています。
が、この四人は血のつながりが全くありません。
香ちゃんも結くんも、特別養子縁組で赤ちゃんの時にこの家の一員になりました。
そのことは地域の人たちも知っていることで、特別なことではなかったのですが、結くんが学校で行う二分の一成人式をきっかけに彼の心の中にもやもやした気持ちが生まれます。
転校生のあかねちゃんから、『結くんはフコウナオイタチでかわいそう』と言われたり、クラスメートから『結はみかん農家をつぐための養子だろ』と言われたりするのです。
それまで、自分は普通の家庭で幸せに暮らしていると思っていたのに、そうではなかったのか?
そんな結くんの不安な気持ちは『足もとがぐらぐらする』と表現されています。
香ちゃんが学校でクラスメートを殴り、「うちはこのパッチワークみたい、にバラバラなものをくっつけただけじゃん」と言って家を飛び出すという事件も起きてしまいます。
(お母さんの趣味がパッチワークで、作品を家に飾っています。)
登場人物の描写が見事で、それぞれの思いに感情移入しやすいストーリーであり、子ども向けの長さにまとまっています。
大人の私が読んでも面白くて話の展開に引き込まれ、ラストではウルっとしてしまいました。
家族とは?血のつながりとは?を考えさせられる一冊です。

私は、家族であることに「血のつながり」が重要ではないと思っています。
自分の子どもを持つことで、自分の子どもだけでなく、世の中の子どもたちが幸せであってほしいと思うようになったからです。
そのために必須なのは「血のつながり」ではなく、本当の意味での愛情だ、と。
香ちゃんと結くんのお父さんとお母さんは、子どもを持つ前から既にその域に達していることが素晴らしいなぁと思いました。

あかねちゃんが言う「かわいそう」。
このワードを言うと相手を思いやる優しい人に見える気がします。
でも、大人になってから気がつきました。
「かわいそう」って、同じ立場に立って人を思いやる言葉ではない。
どう表現したらいいかな、
相手を上から見下ろしているような、
自分がその立場にいなくてよかったというような、
今の私は安易に使いたくない言葉だなぁ、と思います。
私自身が言われたくないのでしょうね。
だって、その人の基準で私の幸・不幸を判定されたくないもの。

いろいろと考えさせられ、お母さんが農園で採れたみかんで作るおやつが実に美味しそう🤤な一冊でした。

最後までお読みいただきありがとうございました。