前日から天気予報で年末以上の最強寒波到来と言われていました。
仕事が休みの日ということもあり、極力出かけないことにしました。
朝に駅までわが子を送った後は、おこもり。

家で何をしたかというと…、
読書です。
図書館から借りたショーン・タンの絵本を四冊、じっくり読みました。
というのも、昨年末に

北九州市立美術館分館で開催されていた『ショーン・タンの世界展』を見てきたのです。
この展覧会では、原画、ラフスケッチ、造形やアトリエの再現などが展示されていました。
写真撮影OKの場所もあり、上の写真もそこで撮ったものです。
作品に出てくるエリックという不思議な生き物が順路案内の看板にも使われていました。
上の写真の「→」を持っているコです。
展示されている『エリック』のストーリーの一部と原画に興味をひかれ、作品をじっくり読みたくなりました。
エリックが可愛いのです🥰
ミュージアムショップで『エリック』の絵本を買おうかどうしようかかなり悩み、まずは図書館でかりて読むことにしました。
絵本といっても内容はかなり深く、大人向けと言ってもいい絵本ばかりです。

ショーン・タンはオーストラリア在住のイラストレーター、絵本作家、映像作家で、彼を世界的に有名にしたのが、

こちら、『アライバル』です(書影は版元ドットコムさんのものです)。
文章はなく精密な鉛筆画のみでストーリーが進むのですが、主人公の不安、驚き、喜びなど様々な感情が伝わってきます。
展覧会では製作段階も展示されていたので、その記憶もよみがえり、作品作りの苦労や工夫も感じながら読みました。
それにしても、とにかく絵が上手い…。

展覧会の会場では最後のブースで『ロスト・シング』の映像を見ました。
アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した作品です。
ショーン・タン本人が9年の歳月をかけて映像化したこだわりの作品だそうで、絵本よりさらにわかりやすいです。
サン・テグジュペリの『星の王子さま』やオールズバーグの『急行「北極号」』を思い出しました。

そして、『エリック』が収録されている、

『遠い町からきた話』(書影は版元ドットコムさんのものです)も読みました。
15のお話が収録されています。
沁みるお話ばかりなのですが、やはりエリックの可愛さは秀逸。
どこの国?星?から来たかわからない交換留学生のエリックの、ホームステイ宅での不思議なふるまいに対してホストマザーは、

「きっとお国柄ね」
「いいじゃないの、本人がそれでいいんなら」

と言うのです。
すごく素敵。
こうありたいなぁ、と思います。
『ロスト・シング』のお母さんとは対照的。
『エリック』の最後の絵が大好きで、ミュージアムショップでクリアファイルを買いました。
この絵を見ると、心がじんわり暖かくなります。

もう一冊は最新作『内なる町から来た話』。
絵本というより、絵画の作品集に作家がお話をつけたようだなぁと思いました。
ショーン・タンの経歴を見ると、大学で美術と英文学を学んだとあります。
なるほど、内容が深くて頭の中に入りにくい話もあるわけだ。
私の理解力はさておき、ショーン・タンの(おそらく)文学的な表現を違和感のない美しい日本語に訳していて、翻訳者の力量も感じました。
展覧会では、この本の表紙の原画も展示されていましたが、とても大きな絵でした。
絵の具を塗っているのに透けて見えるような透明感。
そして、原画から感じられるパワーは、印刷物とは段違いです。
本物のチカラを感じました。
この本に使われている原画の中で、忘れたくないと思った絵のポストカードを買いました(やはりパワーは原画の方にありますが)。

会場では正方形で小さいイサイズの油絵も展示されていました。
カボチャやホテル(日本のホテルです!)の廊下など、日常の何気ないワンシーンを描いたものです。
寄ってみると「絵だよねぇ、ふーん」なのですが、離れて見るとまるで写真のよう、それも雰囲気のある特別な写真のように見えるのです😲
精密に描かなくても写真のように見える…。
こんな手法が。
ホントにすごいな、ショーン・タン。

展覧会に行ってよかった。
一緒に行ってくれて、『ロスト・シング』の映像を見たほうがいいよと勧めてくれた夫にありがとう😄

ミュージアムショップの『エリック』は、この展覧会用の特別版らしいです。
口コミを見ると、『遠い町から来た話』の方がサイズが大きくていい、と。
特別版と大きいサイズの間で揺れています。

最後までお読みいただきありがとうございました。